いい医者と悪い医者の見分け方
ドラマや漫画に登場する名医は、豊富な知識と卓越した手技で患者を黙らせる圧倒的な存在として描かれることが多くあります。しかし、自分の身に置き換えて考えてみてください。本当にそんな医療を受けたいですか。今回は「いい医者と悪い医者の見分け方」の観点から、医者と患者の新しい関係性について取り上げようと思います。
目次
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「患者理解」における3つのポイント
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「患者への説明」における2つのポイント
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「情報の開示」における2つのポイント
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アメリカの医師評価システムについて
※このニュースレターは、米国がん専門医である上野直人が誤った医療情報に騙されないための知識や考え方をお届けしていきます。患者さんや医療従事者のヘルスリテラシーを向上させるべく、継続的に発信していきますので、定期的に受け取りたい方はぜひご登録ください。
患者にとっていい医師を見分けるのは、そんな簡単なことではありません。まず、患者さんの立場ではそもそも医師を横並びで比較することは環境的に不可能だし、医師の立場でも医師が普段患者とどのようなコミュニケーションをとっているか、あるいはベッドサイドマナーはブラックボックスで実際のところよく知らないからです。
しかし、私が医師として、あるいはがん患者として経験した中で感じた「いい医師の前提条件」のようなものを7つほど挙げてみました。今の担当医に不満を持っている方、これから医療機関を受診される方、普段患者と接している医師の方にぜひ読んでいただきたいです。特にがんに絞った条件ではありませんので、多くの患者さんと医師に当てはまる内容となっています。
患者理解について3つのポイント
医師が医療行為を提供するときに科学的な事実に照らし合わせて判断を下す必要があることはこれまでの記事でも説明してきました。しかし、医師から聞かされた情報が同じであったとしても、その事実の受け取り方は患者さんによって異なります。それは情報を咀嚼する方法が患者さん自身の人生経験や価値観に大きく左右されるからです。
私自身もがんを専門に診ていますが、同じ事実を伝えたときのリアクションは患者さんによってさまざま。特にターミナルの患者さんではその違いは顕著に現れます。同じ説明をしても納得して帰って行く人と、明らかに不満げな様子で病室を後にする人もいるのです。
このように同じ情報を患者さんに与えたとしても同じ反応を示すとは限りません。しかし、一人ひとりの差異を考慮せずに画一的な「正解」を押し付けてしまう医者がいるといることも事実です。そういう医者は患者の声に耳を傾けているようで、聞いているふりをしているだけ。患者の目線に立っていないのです。
患者を理解してくれる医者を見分けるポイントとして、次の3点を参考にしてみてください。