上野直人「ヘルスリテラシー道場」とは
米国がん専門医である上野直人が、がん患者が知っておくべき情報や医療情報リテラシー、がん先端研究などについて発信していきます。書店やネットが真偽不明の医療情報で溢れかえる現代。読者の皆さんが適切な医療情報にアクセスするための手段としてこのニュースレターをお役立てください。
私がニュースレターを書く理由
私は長年がん治療に携わってきましたが、自分自身もがん患者になったことがあります。がん治療は白黒(絶対に正しい、もしくは絶対間違っている)がはっきりしないグレーゾーンが多く、患者さん自身が情報を理解して選択することを求められる病です。これまで、SNSやテレビ出演を通して発信を繰り返してきましたが、患者が理解を深めるためには医師からの一方的なコミュニケーションでは限界があります。書き手と読者の双方向性があるニュースレターであれば、患者さんのためになる発信ができると考えました。
私の患者でも悩みや不安を吐き出す場所がなくて、精神的にも追い詰められてしまう人が少なくありません。そこで、私の記事を中心に患者さんや医師が集まって、経験や知識を共有するコミュニティをつくりたいとかねてより考えていました。
また、がん患者が「本当に知りたい情報」が世の中に発信されていない問題にも、ずっと取り組みたいと考えていました。「一般論」と「原則論」はたくさんあるのですが、具体事例がまったく共有されないのです。
私自身、がんを患ったときにそれを身をもって体験しました。例えば、「がんを患ったことを職場にどうやって伝えるのか」といった患者本人にとって切実な問題に対処するための情報はどこにもありませんでした。「職場にがんを罹患したことを開示する義務はありません」という一般論はどこにでも書いてあります。しかし、現実的に一緒に仕事をするチームに自分の病についてまったく話さないのならば、チームとの信頼関係に傷がつきかねません。
そこで必要となるのが「どのくらい開示するか」「どうやって開示するか」という具体的な解決策です。画一的な一般論だけでは患者さんは前には進めません。具体的な選択肢を知ることではじめて、患者さんの意思決定は前進するのです。「ヘルスリテラシー道場」はそうした患者さんの体験談が共有されることで、具体的な事例が共有される空間を目指しています。
スレッド(掲示板)について
こんな方におすすめ
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他のがん患者がどのように問題に対処したのかを知りたい方
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自分の体験談を他の患者と共有したい方
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信頼できる医療情報へのアクセスしたい方
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患者さんとのコミュニケーションに困っている医師
プロフィール
上野直人
ハワイ大学がんセンター センター長
1964年、京都府に生まれる。1989年和歌山県立医科大学卒業。ピッツバーグ大学付属病院にて一般内科研修後、米国内科専門医取得。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターにて、腫瘍内科医として研修。米国腫瘍内科専門医取得後、MDアンダーソンがんセンター教授を経て現職。腫瘍分子細胞学博士。
専門は、炎症性乳がん、転移性乳がん。標準的な治療方法の開発から、新しい免疫・標的治療の開発まで、がん治療の先端を担う。がんの治療効果を最大にするために必要かつ最適とされるチーム医療(チームオンコロジー)の推進にも力を入れ、日本でも医療従事者向けの教育活動を行う(www.teamoncology.com)。
自身もがん患者になった経験をもとに、患者の主体性を高めるべく「最高の医療をうけるための患者学」(講談社)、「一流患者と三流患者:医者から最高の医療を引き出す心得」(朝日新書)を書き、「患者学」に関する情報を発信している。
配信頻度・形式
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