【実演】Googleで検索上位に並ぶ「怪しいがん治療」

実際の検索結果を見ながら、怪しい情報の見分け方を解説します。
上野直人 2022.09.23
読者限定

医療情報を調べるときに、検索エンジンを利用しない人は多いと思います。しかし、検索結果に怪しい情報が混在していることを知っている人は少ない。そこで、がん治療をGoogle検索して、怪しい情報がどのくらい出てくるのか実験してみました。驚きの実験結果と併せて、怪しい情報を見抜く方法を紹介します。

目次

  • 「免疫療法 がん」をGoogle検索、衝撃の結果

  •  Googleマップに要注意

  •  怪しい医療機関は「名前」でわかる

  • 「治療費」は掲載しているほうが怪しい

  •  日本だけ?アメリカの検索結果との比較

※このニュースレターは、米国がん専門医である上野直人が誤った医療情報に騙されないための知識や考え方をお届けしていきます。患者さんや医療従事者のヘルスリテラシーを向上させるべく、継続的に発信していきますので、来週も受け取りたい方はぜひ登録をお願いします。

「免疫療法 がん」でGoogle検索、驚きの結果

検索エンジンの1ページ目から、怪しい医療情報がたくさん出てきてしまうことをどのくらいの方がご存じでしょうか。多くの医療従事者にとっては有名な話なのですが、患者さんの間ではあまり知られていないと感じているので、今回は「検索エンジンと怪しい情報」について検証していきます。ここでいう「怪しい」とは、科学的根拠が弱い情報、あるいは標準治療ではない利潤追求のための医療を提供している可能性が高いウェブサイトを指します。

今回、検索エンジンの検証ではGoogleを使います。おそらく最も多くの人が利用する検索エンジンだと思ったからです。Google検索で「がん 免疫療法」と打ち込んだ際に出てくる結果を分析してみます。がんの免疫療法は本庶佑先生がノーベル賞を受賞した分野とも密接なつながりがあるなど、近年大きな注目を集めている治療法です。私自身も患者から質問をされる機会が多く、患者さんも自分で調べる機会が多いだろうと思ったので、このテーマにしました。また、検索結果がパーソナライズされるのを防ぐため、閲覧履歴が残らないシークレットモードを使って検索しています。

さて、検索結果を見てみましょう。赤い数字でナンバリングした部分が、怪しいがん治療を提供している医療機関のサイトです。驚くべきことに検索結果の1ページ目から、7件もの怪しい医療情報がヒットしてしまいます。注目を集める免疫療法についてGoogleで調べると効果が証明されていない治療を提供する医療機関が紹介されると聞いてどう思われるだろうか。私は一体何人の人がこうした情報に騙されてしまうのかと考えただけでゾッとします。

「免疫療法がん」でGoogle検索したときのスクリーンショット。

「免疫療法がん」でGoogle検索したときのスクリーンショット。

もちろん、Googleは正しい医療情報にアクセスすることもできるので、大いに活用してほしいサービスです。実際に、検索結果ページの一番上に表示されるサイトは、「国立がん研究センター」や「がん情報サービス(国立がん研究センターが運営するがんの情報サイト)」が出てきます。むしろ、自分で医療情報を調べることは、納得する治療に辿り着くために必要なので、どんどん調べてほしい。しかし、その際にそこに誤った情報が多く紛れているという事実を頭に入れておいてほしいのです。

Googleのアルゴリズムがどんな仕組みなのかは知らないので、なぜこうした真偽不明の医療情報が検索結果の上位に出てきてしまうのかは理解できません。そして、Googleを責めるだけでは、騙されてしまう患者さんは減りません。そこで、私にできることは、「検索結果から誤った医療情報を見抜く方法」を皆さんにお伝えすることではないかと考えました。次の3つのポイントから解説していきます。

  • 「Googleマップ」に要注意

  •  怪しい医療機関は「名前」でわかる

  • 「治療費」は掲載しているほうが怪しい

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3954文字あります。
  • 1. 「Googleマップ」に要注意
  • 2. 怪しい医療機関は「名前」でわかる
  • 3.「治療費」は掲載しているほうが怪しい
  • 日本だけ?アメリカの検索結果との比較

すでに登録された方はこちら

読者限定
がん治療計画
読者限定
医療従事者へ患者からの声
誰でも
有料配信の停止と今後も無料で継続予定
サポートメンバー限定
Q. あるセミナーで「海外ではがん標準治療は行われていない」と言われた...
サポートメンバー限定
「暴走する免疫」免疫療法の"不可逆的リスク"
サポートメンバー限定
「がん早期発見のリスク」検診前に知るべき体と心とお金の負担
サポートメンバー限定
がん治療中に車を運転しても大丈夫?
サポートメンバー限定
がんを職場にどう報告するか